恋するウサギちゃん速報

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令和六年度入学大阪大学大学院理学研究科数学専攻受験期

タイトル全部漢字にしてみました、お久しぶりです。院試のレポートです。受験される方は参考にしてみてください!

 

院試の流れ

 

1日目は9時〜12時と13時半〜16時半で基礎と専門の数学の試験があります。基礎科目の方は微積線形位相複素から1題づつ、専門の方は代数(群、環)、幾何(多様体トポロジー)、解析(ルベーグ微分方程式)のうちから3題選択して解く形式です。2日目は10時〜11時で英語の試験があり12時に口頭試問有資格者発表。その後各自口頭試問という形になっています。

数学の試験について

何故か基礎科目は9時6分からの3時間で開催でした。完答難易度順に並べると3>4>2>1とかですかね。僕は順に前から解いていきました。

1番は超簡単で無限和と積分を入れ替えるやつです。まともに勉強してる人なら確実に取れるんじゃないですかね?強いて言うなら⑴のFが連続がどこで活きているのかが分からない人居そうかなくらいですかね(20分程度で完答)

2番もまあそこまで難しくないです。周りの出来を聞いた感じ解けてる人が大半で⑵までって人もいました。⑴,⑵までは良いとして⑶以降ですね。普通にℂは代数閉体なので固有多項式を1次の積で分解したあとケイリーハミルトンで終わりです。⑷は反例挙げるだけでいいのであれば簡単ですね。僕は適当に2×2で作ったのですが一般に交代行列は0または虚数固有値しか取らないのでそれを使っても良さそうです。(多分40分くらい)

3番はまあどの教科書にも載っている話です。案外⑶の正答率が悪かったみたいです。A^cを考えるって話ですね。(30分とか)

4番、これ留数が始めてみる値でめちゃくちゃ違和感ありました。最後の方まで自分の計算ミスを疑っていました。(計算ミスが怖すぎて残りの時間ここの見直しに全て投入しました)

 

まあ全体的に過年度に比べると激易化ですよね。全完した人も少なくないんじゃないでしょうか。

専門科目については1,2,5を選択しました(群環ルベーグです)。

実は難易度が狂いがちな代数に比べてルベーグは簡単な年が多いです。その上ルベーグは覚えることも少なくてコスパ最高です。阪大院試考えている人はルベーグ練習しましょう。

1番はおおよそ1時間で(3)まで解けて、⑷が解けず(おそらく計算ミスしている)で終わりました。ここ解けていれば夢の満点あったかもなので結構悔しいです。どういうノリで作られた問題なのか全く分からない変な問題でした。なにか背景とかあるのかしら。

2番はおそらく歴代最易問です。環論ユーザーにとって神当たり年です。ワンチャン高校生でも解けるレベルです逆に他の環論ユーザーと差がつかなくなるんでこういうのは辞めて欲しいですマジで。⑴,⑵はもう中学生レベルですね。⑶も可逆元って単語の意味知ってればやるだけです。⑷も9には2通りの分解があるってだけで終わりです。UFDでない環の1番初等的な例で環論ユーザーなら1回は見たことある例ですね。(まじで15分とか)

5もそこまで難しくなくルベーグフビニフビニで終わりです。計算ミスにだけ気をつけてって感じですね(なんかめっちゃ疲れてきてだいぶちんたらやりました。40分くらい?)

 

周りの話聞いてると今回は2,4,5が当たりみたいです。ここからは戦略的な話になるのですが専門の対策として対策する大問数は1〜6のいずれかになると思いますがおそらく3題対策が1番コスパいいです。6題対策するのはこういう明確に当たり外れがある年だと有効ですがそうでない年は大問数を絞って練度をあげる方がいいと思います。ちなみに前年度首席は強すぎて知らん間に6題全て解ける素養ある状態になってたらしいです。狂ってますよね〜

注意としては単騎待ち両面待ちみたいなのはやめた方がいいと思います。ハズレ引いた時のリスクがデカすぎますし。

口頭試問について

鬼地獄でした。スマホとかの電子機器は使えないので待機時間クソ暇です。本とか持っていきましょう(最後だったので1時間半待機させられました)。対策しにくい口頭試問ですが質問例を知っているとそれなりにやりやすいと思うので述べておきます。

基本的に学生1に教官4でやります。前の黒板を使って質問に答えていくスタイルです。

周り聞いている感じ院試の出来栄えや院試の問題については触れられないみたいです。

僕の時の質問は

ボルツァーノワイエルシュトラスの定理の証明

ℝ^3の部分ベクトル空間の同定

テイラーの定理の主張と適応条件

ハウスドルフ空間のコンパクト集合は閉であることの証明です。落ち着いてやればどれもそれほど難しくは無いのですがなんか全く上手いこといきませんでした。ゼミ中に詰められてる時の気分になりました。順に深堀りしていきます。

ボルツァーノワイエルシュトラスの定理の証明について。定理のステートメントを述べられたあとこの定理を知っているか確認されました。その後実際に証明していくのですが、地味に焦りました。区間縮小法(って名前なんかな?)で示す訳ですが、概略を述べたあと本当に部分列になってるの?とか聞かれました。僕の述べた内容では同じ項をとっていけばいいやんってツッコミです。まだ選んでないもののうち番号が最も若い所を選んでいけばよいとか言いました。怖かったよぉ〜

ℝ^3の部分ベクトル空間の同定については最初同型の意味での分類だと思ってクソ簡単やんとか思ったのですが張る基底についてまで分類を与えないといけないみたいでした。0,ℝ,ℝ^3についてはまあ明示的に書ける訳ですがℝ^2って明示的にかけなくね?って思ったんですけど何が正解なんですかねこの問。

テイラーの定理に関する話については

C^∞級関数f(x)に対するテイラーの定理の主張を述べよと言われたので固定したaに対して∑(0to infty)a_k(x-a)^kのようになるa_kが存在するみたいな風に述べたました(その後xはどこの元?って聞かれてaの近傍ですと答えました)。a_kの具体的な形を聞かれてまあそれを書いてってしたんですけどここから僕の院試内最大のミスが発生します。C^∞関数ならいつでも適応可能なのかを聞かれたのですが僕は適応できると答えてしまいました(剰余項の収束が必要みたいです)。すると教官に「言い切ったよ〜笑」とか言われて最悪でした。専門でもないし変な関数考えることないどころか微分すらしない*1専門*2なので知るわけないんですよね〜(怒)。まあ重要な定理はその証明や適応条件も確認しときましょうって話です。数学勉強する人間としての態度が悪かったですね。

最後はこれ普通に途中までしか出来ませんでした。悔しい〜

 

さて、口頭試問で聞かれる内容なのですが恐らく試験の出来と質問のレベルは相関があります。なんか普通にムズいこと聞かれている人もいれば定義を聞かれる率が高い人もいました。

最後に他の方の質問例も挙げて起きます(調査に協力してくれた皆様に感謝!!)

コピペなのでダブりもあると思います。まあ良く狙われる問題なんだなと思って下さい

 

有界な実数列の定義
実数列が収束列の定義とその否定命題
収束するならば有界

行列のランクの定義
列、行基本変形を施してもランクが変わらない理由
線型写像の核の定義と行列のランクとの関係

ハウスドルフ空間の定義
ハウスドルフの部分集合もハウスドルフ
コンパクト集合の実関数の像もコンパクト

 

 

数列の収束の定義、コーシー列は有界
部分空間の定義、基底の個数は一定
距離位相の定義、距離位相が同じになることはあるか?

 

距離空間の定義
・完備距離空間の定義
・完備ではない距離空間の例
距離空間上の関数の連続性の定義
・一様連続性の定義
有界区間上の一様連続関数がもつ性質の例
・R^nのコンパクトな部分空間上の連続関数は一様連続であることの証明
行列式の定義
・転置しても行列式が等しいことの証明

 

距離空間の定義
距離関数は連続かどうか
距離空間が完備の定義
区間I上で連続の定義
区間I上で一様連続の定義
有界区間上の一様連続関数は有界の証明
(それが分からなくて)関数が有界の定義
線型写像の表現行列の定義
(表現行列をAとしたときに)rankAと線形写像の関係とそれの証明
有限次元ベクトル空間とK^nとの同型の説明
線形写像T:V→Wと同型f:V→K^nと同型g:W→K^mと線形写像K^n→K^mの計4つの写像の関係
行列のランクの定義

 

コーシー列の定義とそれが有界であること示せ

二つ目はR^3の部分空間を全て述べなさい言われて、そのあとR^2の基底の定義とその例

三つ目は3項目までのテイラーの定理の主張を述べなさいで

四つめは距離空間がハウスドルフであることと、交わらない閉集合が開集合で分離できるかどうか

 

〜であることを示せ、ではなくてオープンクエスチョン(〜は一般に成り立つか否か)はその場でスグに答え出すのはかなりキツイですよね。普段から色んな例を見ることを心がけましょう。

 

試験対策としては過去問やってって必要な知識を身につけていくという形でいいんじゃないでしょうか。人に見てもらうことでミスに気づけたりもするので友達と勉強するのも良さそうです。

 

 

最後まで読んでくださいありがとうございました。院試勢は皆様お疲れ様でした。

*1:形式的な微分を与えることはある

*2:代数幾何