恋するウサギちゃん速報

当ブログでは皆さまのリクエストをお待ちしてます。

令和六年度入学大阪大学大学院理学研究科数学専攻受験期

タイトル全部漢字にしてみました、お久しぶりです。院試のレポートです。受験される方は参考にしてみてください!

 

院試の流れ

 

1日目は9時〜12時と13時半〜16時半で基礎と専門の数学の試験があります。基礎科目の方は微積線形位相複素から1題づつ、専門の方は代数(群、環)、幾何(多様体トポロジー)、解析(ルベーグ微分方程式)のうちから3題選択して解く形式です。2日目は10時〜11時で英語の試験があり12時に口頭試問有資格者発表。その後各自口頭試問という形になっています。

数学の試験について

何故か基礎科目は9時6分からの3時間で開催でした。完答難易度順に並べると3>4>2>1とかですかね。僕は順に前から解いていきました。

1番は超簡単で無限和と積分を入れ替えるやつです。まともに勉強してる人なら確実に取れるんじゃないですかね?強いて言うなら⑴のFが連続がどこで活きているのかが分からない人居そうかなくらいですかね(20分程度で完答)

2番もまあそこまで難しくないです。周りの出来を聞いた感じ解けてる人が大半で⑵までって人もいました。⑴,⑵までは良いとして⑶以降ですね。普通にℂは代数閉体なので固有多項式を1次の積で分解したあとケイリーハミルトンで終わりです。⑷は反例挙げるだけでいいのであれば簡単ですね。僕は適当に2×2で作ったのですが一般に交代行列は0または虚数固有値しか取らないのでそれを使っても良さそうです。(多分40分くらい)

3番はまあどの教科書にも載っている話です。案外⑶の正答率が悪かったみたいです。A^cを考えるって話ですね。(30分とか)

4番、これ留数が始めてみる値でめちゃくちゃ違和感ありました。最後の方まで自分の計算ミスを疑っていました。(計算ミスが怖すぎて残りの時間ここの見直しに全て投入しました)

 

まあ全体的に過年度に比べると激易化ですよね。全完した人も少なくないんじゃないでしょうか。

専門科目については1,2,5を選択しました(群環ルベーグです)。

実は難易度が狂いがちな代数に比べてルベーグは簡単な年が多いです。その上ルベーグは覚えることも少なくてコスパ最高です。阪大院試考えている人はルベーグ練習しましょう。

1番はおおよそ1時間で(3)まで解けて、⑷が解けず(おそらく計算ミスしている)で終わりました。ここ解けていれば夢の満点あったかもなので結構悔しいです。どういうノリで作られた問題なのか全く分からない変な問題でした。なにか背景とかあるのかしら。

2番はおそらく歴代最易問です。環論ユーザーにとって神当たり年です。ワンチャン高校生でも解けるレベルです逆に他の環論ユーザーと差がつかなくなるんでこういうのは辞めて欲しいですマジで。⑴,⑵はもう中学生レベルですね。⑶も可逆元って単語の意味知ってればやるだけです。⑷も9には2通りの分解があるってだけで終わりです。UFDでない環の1番初等的な例で環論ユーザーなら1回は見たことある例ですね。(まじで15分とか)

5もそこまで難しくなくルベーグフビニフビニで終わりです。計算ミスにだけ気をつけてって感じですね(なんかめっちゃ疲れてきてだいぶちんたらやりました。40分くらい?)

 

周りの話聞いてると今回は2,4,5が当たりみたいです。ここからは戦略的な話になるのですが専門の対策として対策する大問数は1〜6のいずれかになると思いますがおそらく3題対策が1番コスパいいです。6題対策するのはこういう明確に当たり外れがある年だと有効ですがそうでない年は大問数を絞って練度をあげる方がいいと思います。ちなみに前年度首席は強すぎて知らん間に6題全て解ける素養ある状態になってたらしいです。狂ってますよね〜

注意としては単騎待ち両面待ちみたいなのはやめた方がいいと思います。ハズレ引いた時のリスクがデカすぎますし。

口頭試問について

鬼地獄でした。スマホとかの電子機器は使えないので待機時間クソ暇です。本とか持っていきましょう(最後だったので1時間半待機させられました)。対策しにくい口頭試問ですが質問例を知っているとそれなりにやりやすいと思うので述べておきます。

基本的に学生1に教官4でやります。前の黒板を使って質問に答えていくスタイルです。

周り聞いている感じ院試の出来栄えや院試の問題については触れられないみたいです。

僕の時の質問は

ボルツァーノワイエルシュトラスの定理の証明

ℝ^3の部分ベクトル空間の同定

テイラーの定理の主張と適応条件

ハウスドルフ空間のコンパクト集合は閉であることの証明です。落ち着いてやればどれもそれほど難しくは無いのですがなんか全く上手いこといきませんでした。ゼミ中に詰められてる時の気分になりました。順に深堀りしていきます。

ボルツァーノワイエルシュトラスの定理の証明について。定理のステートメントを述べられたあとこの定理を知っているか確認されました。その後実際に証明していくのですが、地味に焦りました。区間縮小法(って名前なんかな?)で示す訳ですが、概略を述べたあと本当に部分列になってるの?とか聞かれました。僕の述べた内容では同じ項をとっていけばいいやんってツッコミです。まだ選んでないもののうち番号が最も若い所を選んでいけばよいとか言いました。怖かったよぉ〜

ℝ^3の部分ベクトル空間の同定については最初同型の意味での分類だと思ってクソ簡単やんとか思ったのですが張る基底についてまで分類を与えないといけないみたいでした。0,ℝ,ℝ^3についてはまあ明示的に書ける訳ですがℝ^2って明示的にかけなくね?って思ったんですけど何が正解なんですかねこの問。

テイラーの定理に関する話については

C^∞級関数f(x)に対するテイラーの定理の主張を述べよと言われたので固定したaに対して∑(0to infty)a_k(x-a)^kのようになるa_kが存在するみたいな風に述べたました(その後xはどこの元?って聞かれてaの近傍ですと答えました)。a_kの具体的な形を聞かれてまあそれを書いてってしたんですけどここから僕の院試内最大のミスが発生します。C^∞関数ならいつでも適応可能なのかを聞かれたのですが僕は適応できると答えてしまいました(剰余項の収束が必要みたいです)。すると教官に「言い切ったよ〜笑」とか言われて最悪でした。専門でもないし変な関数考えることないどころか微分すらしない*1専門*2なので知るわけないんですよね〜(怒)。まあ重要な定理はその証明や適応条件も確認しときましょうって話です。数学勉強する人間としての態度が悪かったですね。

最後はこれ普通に途中までしか出来ませんでした。悔しい〜

 

さて、口頭試問で聞かれる内容なのですが恐らく試験の出来と質問のレベルは相関があります。なんか普通にムズいこと聞かれている人もいれば定義を聞かれる率が高い人もいました。

最後に他の方の質問例も挙げて起きます(調査に協力してくれた皆様に感謝!!)

コピペなのでダブりもあると思います。まあ良く狙われる問題なんだなと思って下さい

 

有界な実数列の定義
実数列が収束列の定義とその否定命題
収束するならば有界

行列のランクの定義
列、行基本変形を施してもランクが変わらない理由
線型写像の核の定義と行列のランクとの関係

ハウスドルフ空間の定義
ハウスドルフの部分集合もハウスドルフ
コンパクト集合の実関数の像もコンパクト

 

 

数列の収束の定義、コーシー列は有界
部分空間の定義、基底の個数は一定
距離位相の定義、距離位相が同じになることはあるか?

 

距離空間の定義
・完備距離空間の定義
・完備ではない距離空間の例
距離空間上の関数の連続性の定義
・一様連続性の定義
有界区間上の一様連続関数がもつ性質の例
・R^nのコンパクトな部分空間上の連続関数は一様連続であることの証明
行列式の定義
・転置しても行列式が等しいことの証明

 

距離空間の定義
距離関数は連続かどうか
距離空間が完備の定義
区間I上で連続の定義
区間I上で一様連続の定義
有界区間上の一様連続関数は有界の証明
(それが分からなくて)関数が有界の定義
線型写像の表現行列の定義
(表現行列をAとしたときに)rankAと線形写像の関係とそれの証明
有限次元ベクトル空間とK^nとの同型の説明
線形写像T:V→Wと同型f:V→K^nと同型g:W→K^mと線形写像K^n→K^mの計4つの写像の関係
行列のランクの定義

 

コーシー列の定義とそれが有界であること示せ

二つ目はR^3の部分空間を全て述べなさい言われて、そのあとR^2の基底の定義とその例

三つ目は3項目までのテイラーの定理の主張を述べなさいで

四つめは距離空間がハウスドルフであることと、交わらない閉集合が開集合で分離できるかどうか

 

〜であることを示せ、ではなくてオープンクエスチョン(〜は一般に成り立つか否か)はその場でスグに答え出すのはかなりキツイですよね。普段から色んな例を見ることを心がけましょう。

 

試験対策としては過去問やってって必要な知識を身につけていくという形でいいんじゃないでしょうか。人に見てもらうことでミスに気づけたりもするので友達と勉強するのも良さそうです。

 

 

最後まで読んでくださいありがとうございました。院試勢は皆様お疲れ様でした。

*1:形式的な微分を与えることはある

*2:代数幾何

ax+by=1型の不定方程式の解

お久しぶりです!弊学では8月にオープンキャンパスをやっているのですがそこで喋らせて貰った内容を共有させて頂きます。

https://drive.google.com/file/d/1LiGwuUlBrmaruwyZufhoRNf5QWaOMXQz/view?usp=drivesdk

 

人来んのか?って思ってたんですけど満席で立ち見の方までいて下さっててありがたい限りでした。発表後高校生に色々質問されてその中で「発表すごく上手だったの思ったんですけどどういう方法で練習されたんですか?」って聞かれたのクソテンション上がりました。阪大数学科受験するらしいんでまじであの子合格って欲しいです。

何よりも広い行間

数学が好きだ、いつから好きになったかは覚えていないが、物心着く頃には好きだった。大学は数学科へ進んだ、そこで初めて数学書を読んだ。数学書というのは不親切だ。例えば本では、AよりBが従う、という一行の記述しかないが、なぜそうなるかは書かれていない。僕らの世界ではこの様に本などで発生する論議の飛躍を行間と呼び、僕らはそれを補うことを行間を埋める、と呼んでいる。

お酒が好きだ、正確にはお酒というより飲みの場が好きだ。これについてはいつ好きになったかは覚えている。浪人生の頃バイト先の先輩に飲み屋に連れて行って貰えてからだ。よく連れて行って貰えたが大人数で行くためサシで飲むということはなかった。だが、大学生になって初めてサシ飲みをすることになった。異性と二人で飲むことになった。普通に飲んで普通にカラオケで夜を明かして普通に朝電車に乗って帰る、というだけだったが人生において全くもってない経験だった。そもそも異性の友達はおろか、知り合えさえほとんど居ない人生を過ごしてきた自分にとっては彩やかすぎる1日だった。今振り返れば、この日を機にこの人に対して恋心に近い感情を抱いていた。それから1ヶ月経つころにまた誘われた。話を聞いて欲しい、という内容だった。繁華街に集合し適当な飲み屋に入る。本題には入らず互いの近況報告をしながら酒を飲む。好きな歌の歌詞で、酒を飲むペースが上がるにつれ、話す速度が落ちていく、というものがあるが僕達は酒を飲むペースに比例して話の速度は増してった。そこで向こうが本題に入る、聞いて欲しかった話の内容だ。特に前置きもなく語り出す。

5つ位上の男の人と会って家行って1回抱かれて〜

ここで一度思考が止まった。いや、思考がフル回転したのかもしれない。まず、どこでその男と接点を持ったのか、そして家に行ってから抱かれるまでにもうちょい何かあるだろ、等の疑問が頭に浮ぶ。平然を装い最後まで話を聞くと、どうやらその一晩限りの関係が忘れられない、という内容だ。生きてきた世界が全くもって違うのだ。何か偶発的なものが掛け合わさって異性と二人で会うという奇跡が起きた僕とは違い、彼女にとっては異性と二人きりで会う(そして抱かれる)ということは日常の一コマであり、ありふれたものなのだ。ここからの記憶は定かでは無い、恐らく前と同じようにカラオケに行き、前と同じように朝電車に乗ったのだろう。ただ唯一覚えていることは夢中で酒を飲み、トイレで地獄のような気分を味わいながら嘔吐したことだけだ。

 

この話から2年経つ今、まだ数学は好きで数学書を読むが、1回抱かれて、よりも広い行間に出会ったことはない。恐らくどれだけ生きてもこの行間が埋まる(埋められる)ことはないのだろう。

人生初二郎系ラーメン

金曜日の夜、前から気になっていた美味しいと評判のラーメン屋さんに足を運んだ。いわゆる二郎系の店である。想像より内装は綺麗で清潔感があった。きたな美味い店を想像していたので拍子抜けだ。システムがよく分からないのだがどうやら食券式のようだ。大食いでは無いので小さめのサイズにしたかったが何故か見当たらない。したかないので豚マシというやつにした(1100円、高いよ)。すると食券ではなく緑色のカードみたいなものが出てきた。それを手にし席に座ろうとすると外でお待ちくださいと店員さんに誘導された。外には既に6人くらいが並んでいる。その後ろに並ぶことにする。店内にはいくつか空席があったはずだがなかなか進まない。というより店に呼ばれる人が居ないのだ。不思議だなと思いながら待つこと十数分、いよいよ案内された。席は全てカウンターでコの字になっている。12番、1番角席にお願いしますと言われたのでそこに座る。小綺麗な店内とは裏腹に殺伐とした空気が流れていた。どうやら12人店に入れる、全員が出る、また次の12人を入れる、というシステムのようだ。すると店主が僕とは逆端の人に向かって、「ニンニク入れますか?」とかなりの声量で問いだした。すると聞かれた人は「カラメ」と答えた。意味がわからなかったが、店主はそのまま次の人にニンニクを入れるかどうかを問う。次の人は「全部マシマシ」と答える。次の人もその次の人も聞きなれない単語で返事をする。コールの仕方など聞きたかったがあまりのテンポに質問を挟む隙を見いだせなかった。僕の番まで残り8人。何とか規則性を見出し答えなければ…

 

僕の番が来た、コールが終わるまでラーメンが提供されないようなので、コールの種類はある程度把握したがそれがどんなオプションを指すのかが分からなかった。とりあえず僕は野菜はあまり要らないなと思ったので「野菜普通他マシマシ」と返事した。

 

数分後化け物みたいな量のラーメンが目の前に出される。食いきれんのかこれ…?と思いながらも手をつける。味が濃い、かなり濃い。薄味派なのでキツかった。量も多いが雰囲気的に残しにくいししかも店の回転的にもちんたら食ってはいられない。とんでもない量のラーメンを口にほおりこむ。高校生の頃ラグビー部合宿で顧問に吐く手前まで食わされたことを思い出す。1100円払って飯トレしに来たみたいになっていた。周りの客もきつそうだった。会話は生まれていないがそこには確かに一体感があった。苦しくとも前に進まなければならない、そんな過酷な状況が仲間意識を産んだのだろう。3年間苦楽を共にしたチームメイト達のことが頭によぎった。吐く手前まで来たが何とか食べ切れた。達成感と共に店を出る。同じタイミングで他の人らも店を出たので、思わず声をかける。

 

「やり切りましたね!しかしとんでもない量でしたね〜!」

 

周りの人達は冷たい目で僕を一瞥したあと直ぐに目を逸らした。そんな中1人が「あんなもんでしょ、普通」と返事をする。

 

どうやら仲間意識を覚えたのは僕だけだったようだ。

 

次の日は下痢が止まらなかった。多分もう行くことはないだろう。

鼻中隔湾曲症の手術

お久しぶりです、今回は数学全く関係ない話です。私はこの夏に鼻中隔湾曲症(簡単に言えば鼻の穴を分けてる骨が歪みまくってる病気)の手術で1週間入院していました。入院中色んな方のこの手術の話のブログを読み漁ってて色々と参考になったので僕も後世に残したいと思います。


入院初日


入院する部屋とか施設の説明とかが主でした。8階だったのでとても夜景が綺麗なことに驚きました。この日僕の面倒を見てくれたのは31歳の女性の看護師さんでした。この方の後輩も見学という形で居たのですが普通に可愛いし同い年(21歳)らしくて心が踊りました。この時点では入院生活は楽しそうという印象しかなかったです。同い年のナースさんに身長測って貰った時にちょっと裏声でこの前より2ミリ大きくなった!*1って呟いたら結構ウケて嬉しかったです*2


入院2日目


手術ですね、母親が来てくれました。鼻中隔湾曲症の手術は主には全身麻酔でするそうです。歪んだ骨を削ったり神経を焼いたりする少しグロい内容です。僕は全身麻酔3時間でした。少しワクワクしながら手術室に入りました。お酒やタバコは控えておくように指示があると思いますので禁酒禁煙の方頑張りましょう。


さて、鼻中隔湾曲症の手術はここからが地獄です。麻酔から覚醒すると鼻で息が出来ません。どういうことかというと、術後数日は鼻栓が常に入っている状態になるからです。このこと自体は聞いていたんですけど想像よりも圧迫感があります。呼吸なんて絶対に出来ない状態になっています。また、麻酔前に鼻で息できないから口で息するようにと言われていたのですがやはり焦ります。麻酔が抜け切ってない靄がかかった頭の中でそれを思い出せるかというのは難しい話です。覚醒直後かなり焦りました、ほとんど反射的に体を暴れさせたのを覚えています。お医者さんの落ち着いて!という声で冷静になれましたが…。鼻中隔湾曲症の手術を受ける方は鼻で息が出来なくなるということを留意して置いてください。


朝9時から3時間の手術なのですが、術後3時間は絶対安静の時間となります。全身麻酔したことある方ならわかると思いますがここも地獄です。声が掠れてほとんど何も喋れない上に、ベッドの上から動くことも許されません。さらに鼻で息が「全く」出来ないという苦痛がアクセントとなり最悪の環境となります。人生で最も長い3時間でした。


この後は丸一日絶食となります。点滴で栄養を体に入れるみたいですね。この手術を受けられる方にアドバイスなのですがと当然ずっと口呼吸になります。喉がかなり痛くなります。なので濡れマスクや水を近くにいっぱい置いておくと良いと思います。


3日目


想像より寝れないです。口でしか呼吸出来ないので浅い睡眠になります。30分〜1時間おきに目が覚めました。喉もめちゃくちゃ痛くなります。地獄としか形容出来ないです。手術当日と次の日は風呂にも入れません。さらに食事はお粥が主になります。病院のお粥はマジでびっくりするくらい美味しくないので塩とかも持ってきておくと良いと思います。最悪みたいな状況になるんですね。なんもすることないし数学やろうと思ってたのですが出来るわけないです。本当に想像より何も出来ません。喉が痛むので喋るのも辛い上に喋りにくいです。普段発話する際には意識しないと思うのですが特定の音を出す際に人間は鼻から空気を出しているようです。その音がつっかえてしまうので喋りにくくなります。とりあえず地獄なので頑張って下さい。文では伝わりにくいと思うのですが口呼吸のみは本当にキツイです。ただ、鼻中隔湾曲症で検索すると色んな方のブログなどを読めるのでそれを読みながら地獄を味わっているのは自分だけじゃないと思いましょう。


4日目


ようやく風呂に入れます。ここら辺で口呼吸に慣れてきました。喉は痛みますが違和感からくる不快感はかなり減ります。


5日目


僕の場合はここで鼻栓を抜きました。医師からの説明で、抜く際は麻酔は出来ない上に人によっては気が遠のくほどの激痛が走ると説明を受けました。実際今までで1番2番に痛かったですが気が遠のく程ではありませんでした。ただ、かなり痛いと思えば案外拍子抜けになったりするので痛いと思う方が良いのでしょう。ネタバレになるのですが抜かれた鼻栓は思いの外大きいです、鼻の中に入るわけなくない?という大きさで思わず笑ってしまいました。鼻栓が抜けたらだいぶと楽になるので自由に過ごしましょう。僕はこの日は思いっきり昼寝した後バイト(オンライン家庭教師)をしていました。普通にバイト出来るくらいには余裕が生まれますので、とりあえずここまで頑張りましょう。


6日目


ここからはエピローグみたいなものです。毎朝その日の担当の看護師さんが挨拶に来てくれるのですがその日の僕の担当は例の同い年の方でした。少し雑談したのですがどうやらお酒が好きなようです。夏ですし少し前に振られたばっかですしこういう出会いがあってもいいのでは!?と言うことで連絡先を渡すことを決意しました。ただ僕は女の人と喋る機会がほとんどない数学徒…どうしても勇気が出ません。ですがどこからともなく*3歌が聞こえてきました。


「淡い恋の端っこを決して離さなければ、この夏は例年より騒々しい日が続くはずさ」


このブログの名前にもなっているこの歌を脳内再生しながら看護師さんに近づき


「僕の連絡先です!良かったら飲み行きましょう!」


と伝えました。看護師さんは笑いながら考えときます、とだけ言っていました。


退院から今日でまる1週間経ちますが連絡は来ていません。


7日目


退院です。鼻中隔湾曲症で入院される方はとりあえず濡れマスクやのどぬーるスプレーなど喉のケアを出来る道具を狗巻君並に大量に持っていきましょう。鼻の手術なのでダメージを喰らうのは鼻かと思われがちですが1番は喉です。


入院中辛いことが多いと思いますが、役に立てたなら幸いです。

*1:当時はスパイファミリーが流行っていた

*2:実際は別に変わってなかったです、173cm

*3:脳内

相加・相乗平均の関係の証明

お久しぶりです!

 

蒸し暑い日が続いていますが皆様はお元気ですか?いよいよ夏という感じがしますね。

 

ところで夏といえば何を思い浮かべるでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうですね、数学です*1。というわけで、今回はAM-GM不等式を証明していきます。色んなやり方が知られていますが今回は位相の知識を使って示そうと思います。位相を使うので高校生の読者さんには少し申し訳ないのですが、なるべくわかりやすく説明したいと思います。

 

ではやっていきます。示したい内容はご存知の通り次の不等式です。

x_1,・・・x_n≧0に対して(x_1+・・・+x_n)/n≧(x_1・・・x_n)^1/nが成立する。

 

proof

 

k≧0に対して

 

D_k={(x_1,・・・,x_n)∈ℝ^n|x_1+・・・+x_n=k,x_1≧0,・・・x_n≧0}とする。

 

Lemma1

 

D_kはコンパクト

 

これは良いでしょう(有界閉なので)

 

Lemma2

 

コンパクト空間上の実連続関数は常に最大値を持つ

 

証明は読者さんに任せます。

 

位相の知識がない方向けに補足しておくと、D_kを定義域として実数値を返すような関数は常に最大値を持つということを示しました。イメージ的には[a,b]から実数値への連続関数って端っこがあってしかも繋がってる訳ですからどこかで最大値を取ってそうですよね?D_kも定め方的に端っこがありそうですからD_kから実数値への連続関数は最大値を持ってそうって話です*2

 

Lemma1,2よりf:D_k→ℝ (x_1,・・・x_n)⟼x_1・・・x_nは最大値を持つ。最大値を与えるような点を(y_1,・・・y_n)とすると、y_1,・・・,y_nが全て0でないことは容易にわかる。次に、y_1=・・・y_nであることを示す。そうでないことを仮定すると、i≠j(1≦i<j≦n)であってy_i≠y_jであるものが存在する。これに対して、

 

f(y_1,・・・y_i,・・・y_j・・・y_n)

 

<f(y_1,・・・(y_i,+y_j)/2,・・・(y_i+y_j)/2,・・・y_n)

 

が従う*3ため*4、(y_1,・・・y_n)の取り方に矛盾する。よってy_1=・・・y_nが成立する。従ってf(x_1,・・・x_n)≦f(y_1,・・・y_n)=y_1・・・y_n=(k/n)^nとなり、あとは両辺のn乗根を取ると題意は示される。

 

以上です。思いのほか簡単ですね。てかfが最大値をとることさえ認めてしまえばもう初等的な式変形だけで解決できちゃいますね。最近色々あってなんか何に対してもやる気がでないので暇ではないですけど変に時間を持て余したりしています。なので何かブログのネタがある人は質問箱等に入れてくれたらそれについて書いてみたいなと思います(あんまり難しい数学の話とかは書けないけど)。

*1:そんなことは無い、筆者は海が一番最初に来る

*2:こんな書き方をするとコンパクト=端っこがあると思われそうですがキチンと勉強したい方はちゃんと定義を確認しましょう。ただℝ^nにおいてコンパクトであることと有界閉集合であることは同値なので端っこがあるということを有界閉集合であると定義すればあながち変な認識でもないのかも知れません

*3:i,j成分を書き換えた

*4:証明は各y_mが0でないことからこれらで両辺を割ったあと移行して(y_i-y_j)^2を作る

iのi乗=約0.2!?

お久しぶりです。テストシーズン(受験シーズン)ですね。中の人も期末テストが約1週間後に迫っています…。これを乗り越えればしばらくはゆっくり出来るのでそれをモチベに頑張っていきたいと思います。受験生の方々も受験が終わればしばらくは遊べるのでそれをモチベに頑張って下さい!応援しています。

さて、今回の記事ですが期末テストに複素解析が含まれているということでそれ関係の記事を書きたいと思います。例に漏れず高校生向けの記事ですので厳密性は少し怪しいところがありますがご容赦下さい。

タイトルにもありますように今回はi(虚数単位)のi乗を求めたいと思います。前に書いた記事でe^iθ=cosθ+isinθ(θは実数)という式を導入しました。*1

高校範囲では指数に虚数が来ることはないのですがこれによりe(ネイピア数)のときは虚数乗を定義できたことになります(前の記事を読んでいない方はとりあえず結果は認めるという感じで読んで下さい)。せっかく虚数乗を定義出来ているのだからこれを使って定義を拡張していくべきだとは思いませんか?なのでこの結果からi^iを求めていきたいと思います。知りたいのはi^iなのでこれを文字zで置くことにします(i^i=z)。話を難しくしているのは指数にiがあるということですよね?なのでとりあえず両辺にlog(自然対数)をとることにします。真数条件*2を思いっきり破ってますね。0以下どころか真数に虚数が来る訳ですから笑。まあ気にせずやってみます。するとilogi=logzになります。これで考える対象がi^iからlogiに変わりました。logiが出せればz=e^(i×logi)となって、logiがわかっているのだから前述のe^iθ=cosθ+isinθを使いzが出せそうです!少し考える時間を取りたいと思います。logiを求めてみましょう。数学的な厳密さは置いておいて形式的な議論で構いません。








求まりましたか?

以下解答です。

 i=cosπ/2+isinπ/2=e^iπ/2ですよね?つまりlogi=iπ/2になりそうです。なので結局

z=e^(ilogi)=e^(-π/2)=0.2〜

が得られます*3

これによってタイトルの式が示された訳です。


お気付きの方もいるかもしれませんがこれでめでたしめでたしとはいきません。もちろん数学的な厳密さが気になる方もいるかもしれませんが、それを差し引いてもおかしな点があります。

そう、i=cosπ/2+isinπ/2のところです。確かにこの式は成立していますが、i=cos(π/2+2πn)+isin(π/2+2πn)(nは整数)ですからこれを使って上と同じ議論をすると

z=e^{-(π/2+2nπ)}が得られます。アレ?値がひとつに定まらない…?そうなんです。実は値がひとつに定まらないんですよね。


ここからは上の概説に対する補足です。一般に0以外の任意の複素数zはr,θ(rは正の実数,θは実数)を用いてz=r(cosθ+isinθ)という形でかけます。いわゆる極座標表示です。左辺を前半で紹介した公式で書き換えるとz=re^iθとなります。実数での話のアナロジー(類推)からlogz=logr+iθとなりそうです。logをとれば掛け算は足し算になり、loge^a=aという実数の範囲では成り立ってる式からです。なので複素数に対してのlogはこう定義するのが自然そうです。しかし先程の具体例からも分かるようにθに2π×(整数)分のバラエティを許してしまうことになります。なので大域的にlogをこのように定義するのはおかしな話になります。zに対してlogzは一通りの値を定めず、logは高校数学の意味での関数にならない訳ですから(このような関数を多価関数という)。ですがズレとして発生する2π×(整数)の整数の部分を固定することを約束すれば一通りに定まることになりますよね?なのでこの約束の元logzを上で定義したものとすればひとまずは上手く定まります(主値と言います。-π<θ≦πで制限をかけるのが一般的ですが0≦θ<2πも見かけます)。


ここからは細かい話です。めんどかったら読み飛ばしてもらっても構いません。

こうしても問題が発生する場合があり、それは関数の定義域に制限がかかっていない時です。原点中心に1周まわってくるようにzを動かせば始点と終点では2π分のズレが生じます。なので大域的にlogzを綺麗に定義することは出来ません。1周回りきる時に急に2πが0にリセットされたらlogの性質として持っていて欲しい連続性が欠如してしまいます。ですが局所的には上の式で上手く定義すること、というよりも別の式で定義して上を性質として導けることが可能です*4。局所的ならlogとして持っていて欲しい連続性どころか正則性*5が得られる訳です。



というわけで結論としてはi^iはe^{-(π/2+2nπ)}となるけども、その主値はe^-π/2となるわけです(ちなみにlogの主値をLogで表したりします)。

いかがでしょうか?複素解析では驚きの定理が沢山出てくるので是非勉強してみてください!面白いと思います。それでは!

*1:https://manjimath.hatenablog.jp/entry/2020/04/20/145442

*2:真数が0より大きくないとダメってやつ

*3:-はi×iから来てます

*4:単連結な領域で1を含み0を含まないような領域なら上手く行きます

*5:複素数の意味で微分可能であること、実数の意味で微分可能であることよりも遥かに強い条件で、例えば1回微分出来れば任意の回数微分出来るなど。これを仮定することにより複素解析における様々な驚きの定理(留数定理や一致の定理)を導くことが出来る。